カニクイザルでの網膜電図を用いた杆体経路及び錐体経路機能の評価による薬剤誘発性網膜機能障害の検出:ジゴキシン投与による検討
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概要
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本実験は、カニクイザルでの網膜電図(Electroretinogram:ERG)による杆体経路及び錐体経路機能の評価により、ヒトで報告されている薬剤誘発性のERGの変化を検出可能か調べることを目的として実施した。視覚障害及び可逆的な錐体系応答の変化をヒトに誘発することが報告されているジゴキシンを、5例のカニクイザルに0.01 mg/kg/dayの用量にて1ヵ月間反復筋肉内投与し、その後1ヵ月間の休薬期間を設けた。ヒトでの標準的な方法を参考に、杆体系応答(Rod response)、混合応答(Combined rod-cone response)、錐体系応答(Single-flash cone response、30 Hz flicker)を経時的に記録した。Combined rod-cone response及びSingle-flash cone responseでは潜時延長が、Single-flash cone response及び30 Hz flickerでは振幅低下が検出された。1ヵ月の休薬期間で、すべてのERGの変化は回復した。一方、Rod responseには明らかな変化は認められなかった。結論として、カニクイザルでのERGによる杆体経路及び錐体経路機能の評価によって、ジゴキシンによる錐体系応答の可逆的な変化が検出可能であった。この結果から、本法は非臨床試験にてヒトへの外挿性の高いデータを得るための手法として有用であることが示唆された。