健診受診者におけるmalondialdehyde-modified LDL (MDA-LDL) の有用性
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概要
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【目的】酸化LDLは動脈硬化の形成、伸展に関与する因子として注目されている。その一つであるMDA-LDLを無症候である健康診断受診者において測定して頸動脈超音波検査と比較し、健康診断における有用性について検討した。【対象】対象者は、2009年10月と2010年1月~2010年12月までの間に関東労災病院健康管理センターで脳ドックを受診した525名から脳血管疾患と冠動脈疾患の既往がある者を除外した男性203名、女性135名とした。【方法】検討した検査項目はMDA-LDL、LDL-C、HDL-C、TC、TG、およびMDA-LDLを各脂質検査値で除した値とし、頸動脈超音波検査で観察されたプラークをその内部形質と表面構造によってsoft、intermediate、hard、ulcerの4群に分類し、プラークを認めなかった場合を対照群として計5群の間で検査値の違いを比較検討した。【結果】プラークの内部に柔らかい脂質コアがあるとされるsoft群は対照群と比較してMDA-LDLが高値を示し、HDLは低値を示す傾向が見られた。また、soft群は対照群と比較して、MDA-LDLを各脂質検査値で除して相対的に比較した値も高値を示す傾向が見られた。【結論】LDLとTCだけで動脈硬化の状態について評価するのは不十分である可能性が示唆された。無症状の健診受診者においてもMDA-LDLを他の脂質検査と併せて測定することで、動脈硬化の状態をより詳細に評価し、個々の受診者に合わせて生活指導や治療に役立てられる可能性が考えられた。
著者
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木村 緑
労働者健康福祉機構 関東労災病院 健康管理センター
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林 務
労働者健康福祉機構 関東労災病院 臨床検査科
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渡邉 多代
労働者健康福祉機構 関東労災病院 健康管理センター
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小笠原 英治
労働者健康福祉機構 関東労災病院 健康管理センター