個人別基準値設定の有用性
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概要
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臨床検査は疾病の診断、治療、予後の推定などに使用されているが、その判断の元となる基準値には、集団から求めた基準値が使用されている。このため、変化がわずかであるため異常な変化を認識できない場合や、基準値を超えたが為に過剰に精密検査を勧めることが健診現場などで見られている。今回我々は、連続して得られた検査値から個人基準値を求め、微細な変化を捕らえられるかを検討した。その結果、集団の基準値では異常と認識できないが個人の基準値を用いることで異常として認識することが可能であると考えられ、集団から求めた基準値でなく、個人の基準値による判定が有用であると考えられた。個人の基準値を作成するには、同じ測定法による連続した検査値を得ることが条件となるが、複数の施設に渡って検査が行われている現状としては、同じ測定法による事は不可能であり、継続した検査値を得て個人の基準値を算出するためには、現在各施設で実施または参加している内部精度管理や外部精度管理調査だけではなく、ISO15189の取得による検査値の保証も行うことで、より安定した検査値を提供することが必要であると思われた。