日本人女性(40-59歳)におけるMCVとMCHの正常下限
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概要
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当施設で2007年4月から2011年3月に健康診断を行った40-59歳日本人女性でCRP値が0.0mg/dlであった400人、988サンプルのデータを対象として、平均赤血球容積(mean corpuscular volume、MCV)と平均赤血球ヘモグロビン量(mean corpuscular hemoglobin; MCH)の下限を検討した。血清鉄90μg/dl以上の階層では、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHは、それぞれ、13.6±0.8g/dl、91.3±3.6fl、30.2±1.4pgであった。ヘモグロビン濃度、MCVおよびMCHが血清鉄90μg/dl以上の階層のそれと比較して、有意に低下し始める血清鉄の階層は、それぞれ、65-74μg/dl(ヘモグロビン濃度;13.0±0.9g/dl、p=3.3E-05)、65-74μg/dl(MCV;89.1±6.1fl、p=2.8E-04)、75-84μg/dl(MCH;29.5±1.7pg、p=1.4E-04)であった。血清鉄が35-44μg/dlの階層で、ヘモグロビン濃度、MCV、MCHは、それぞれ、12.0±1.0g/dl、83.8±5.7fl、26.7±2.3pgであった。血清鉄を目的変数とし、ヘモグロビン濃度、MCVまたは、MCHを説明変数として、重回帰分析を行った。得られた2種の回帰式を血清鉄90μg/dl以上のサンプルのデータに導入し血清鉄を予測した。予測血清鉄値が基準内となるためには、ヘモグロビン濃度12.0g/dlのときには、MCVとMCHの下限はそれぞれ、88.9fl、29.0pg、ヘモグロビン濃度12.8g/dlのときには、MCVとMCHの下限はそれぞれ、84.8fl、27.9pgと算出された。従って、40-59歳で貧血を呈している女性については、MCV≤90fl且つ/またはMCH≤29pgを示す場合には、小球性貧血と評価されるべきと考えられる。