臨床医学から見た抗加齢医学
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概要
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臨床医学としての抗加齢医学は科学としては確立過程にあり、疫学的検証はこれからの課題である。 2001年から高輪メディカルクリニックでは「健康寿命ドック」、2006年から東海大学東京病院で「抗加齢ドック」を実施し、2,500名に及ぶ日本人のエイジングに関するデータベースが蓄積されつつある。今後は横断研究のみならずMORGAM研究のようなフォローアップ研究、もしくは様々な介入研究の実践がもとめられる。 加齢の臨床医学的メカニズムはテロメアやサーチュインなどの病態研究と併行しながら解明が進み、酸化・糖化(AGEs)、メタボリックシンドロームやホルモンの関与が明らかにされた。これらの研究を抗加齢医学として活かすには得られた知見をヒトに適応させ、疾患発症や死亡率の減少、またはQOLの改善などの結果を得なければならない。 これら抗加齢医学アプローチとしては摂取カロリー減少、身体活動、サプリメントなどがあげられる。身体活動のエイジングに及ぼす効果は幅広く研究されており、臨床現場においても姿勢と日常動作に主眼をおいた指導を行なっている。サプリメント(主としてビタミン)に関しては近年薬物と同じ手法でその効果検証が行われるようになり、個人差が軽視される傾向がある。 今後は医療施設のみならず、大学・企業などを含めた幅広い連携によって個人個人のQOLを改善する真の予防医療としての抗加齢医学・医療実現が望まれ、総合健診の果たす役割は大きい。