シロリムス溶出性ステント留置50カ月後に2カ所の超遅発性ステント血栓症を発症した1例
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概要
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症例は, 61歳, 男性. 2005年5月に下壁心筋梗塞で他院に入院した. 緊急冠動脈造影で#2: 100%, #6: 90%が認められ, 急性期に#2へ経皮的バルーン拡張術, 待機的に#6へシロリムス溶出性ステント(sirolimus eluting stent; SES) 留置術が施行された. 同年12月の確認造影で#2: 90%と再狭窄が認められSESを留置された. 2006年7月の確認造影ではいずれのステント留置部にも再狭窄を認めなかった. 高血圧, 高脂血症のコントロールは良好であり, アスピリンとシロスタゾール200mgの内服を継続していた. 2010年1月に下壁心筋梗塞を発症し当院に入院となった. 緊急冠動脈造影で#2のステント内の血栓性閉塞と#6のステント内血栓像を認め, #2の血栓吸引を行った後, ゾタロリムス溶出性ステントを留置した. シロスタゾールをクロピドグレル75mgに変更し経過は順調であった. 待機的な冠動脈造影では#6のSES内の血栓は消失していた.<BR>これまでに抗血小板薬中止後に超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis; VLST) が発症したとの報告や, 単独病変での報告は多いが, 本症例のように抗血小板薬の内服を継続中で, 危険因子も比較的少ない中で多発的に出現したVLSTは稀であるため報告する.
著者
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木村 吉雄
東京都保健医療公社多摩北部医療センター循環器内科
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植松 庄子
東京都保健医療公社多摩北部医療センター循環器内科
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栗原 朋宏
東京都保健医療公社多摩北部医療センター循環器内科
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三谷 健一
東京都保健医療公社多摩北部医療センター循環器内科
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村崎 理史
東京都保健医療公社多摩北部医療センター循環器内科