左冠動脈主幹部入口部の高度狭窄病変において自然退縮が認められた1例
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概要
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症例は高血圧, 高脂血症, 糖尿病, 喫煙の既往がある55歳の女性で, 5年前に左冠動脈主幹部入口部の高度狭窄病変に対してバイパス手術が施行された. 術後は自己判断で医療機関を受診されなくなったが, 父親が心筋梗塞で死亡したため心臓カテーテル検査を希望して受診した. 冠動脈造影では, 左冠動脈主幹部に認められた90%の狭窄病変は25%に退縮していた. 薬物による治療は5年間行われていなかったが, 食事療法, 運動療法や禁煙は継続されており体重は78kgから59kgに減量された. 血圧も正常化し, 血液検査でも耐糖能異常や脂質代謝異常の所見は認められなかった. 本症例ではスタチンなどの内服治療なしに高度な冠動脈狭窄病変において自然退縮が認められたが, その機序として生活習慣の改善が考えられた. 自然退縮が生じた詳細な機序については不明であるが, 生活習慣の改善とともに自然退縮が認められたため冠動脈疾患患者の管理における生活習慣改善の指導の重要性が示唆された.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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長尾 強志
Center of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital
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伊藤 一貴
Center of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital
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坪井 宏樹
Center of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital
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鶴山 幸喜
Center of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital