Complex sleep apnea syndromeと循環器疾患に伴う睡眠呼吸障害
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概要
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Complex sleep apnea syndrome(comp SAS)は, 閉塞型睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea; OSA)が, 持続的陽圧呼吸(continuous positive airway pressure; CPAP)により消失したにもかかわらず, 中枢型睡眠時無呼吸(central sleep apnea; CSA)が出現するものとされている. Comp SASは, CPAP治療への反応性により決定される病態ということができる. 米豪の報告では, OSA患者の15~20%に認められるとされているが, 本邦の発生頻度は低い. また, comp SASと循環器疾患との関連が注目されているが, その発生機序や予測因子, 治療法, 予後などについて一定の見解がないのが現状である. 一方, 慢性心不全など循環器疾患を伴った睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing; SDB)では, CPAP治療への反応性とは無関係に, OSAとCSA, チェーンストークス呼吸を伴うCSA(Cheyne-Stokes respiration with CSA; CSR-CSA)が混在し, complex SDBあるいはcomplex breathing patternなどと呼ばれる複雑な睡眠呼吸障害パターンを呈することがある. 個々の循環器疾患の治療過程により, OSAとCSR-CSAの優位性(dominancy)が変化するため, CPAPへの反応性を含め, 治療法の選択に迷うことがある. しかし, 明確な定義があるわけではない. 両病態を同一として扱うべきか, 心不全を中心とした循環器疾患との関連, 病態生理, 臨床的意義を踏まえた議論が必要と考える.
著者
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山科 章
Department of Cardiology, Tokyo Medical University
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臼井 靖博
Department of Cardiology, Tokyo Medical University
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高田 佳史
Department of Cardiology, Tokyo Medical University