薬剤溶出性ステント留置により誘発された薬剤抵抗性の冠攣縮にて治療に難渋した1例
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概要
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87歳, 女性. 2007年4月急性心不全にて当院入院. 心不全安定後に行った心臓CT検査で右冠動脈#1: 90%, #3: 50%, および左前下行枝#6: 90%石灰化病変が示唆された. 冠動脈造影検査でも同様の2枝病変を認め同日, 右冠動脈#1に対して経皮的冠動脈インターベンションを施行した. 治療はバルーンによる前拡張後, 2.5×18mm Cypherステント留置を行った. ステント留置は問題なく終了したが, ステント留置後の造影で#3の狭窄の増悪を認めた. 冠拡張薬の投与でも改善なくガイドワイヤーによるプラーク損傷を疑い, ステントを追加留置した. しかしその数分後に胸痛再燃し, 造影上#2での完全閉塞を認めた. 冠攣縮と判断したが冠拡張薬の投与でも閉塞·寛解を繰り返しステント内にも血栓形成を認めたため, 冠血流維持目的で止むを得ず#2にもステントを留置した. しかしその後も#4PD, #1の非ステント部に冠攣縮によると考えられる狭窄の出現·寛解を繰り返した. 冠拡張薬, 抗血小板薬, ステロイドなど種々の薬剤を使用するも冠攣縮のコントロールは難しく, 造影剤の影響も否定できなかったためにそれ以上の造影剤使用は危険と判断し手技を終了した. 数時間後には胸痛や房室ブロックは改善しその後再燃なく経過した. 本症例はステント留置を契機に生じた難治性冠攣縮と考えられ, 治療に難渋した症例であるために報告した.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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折田 義也
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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後藤 義崇
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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川崎 友裕
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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新谷 嘉章
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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田中 敦史
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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三戸 隆裕
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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池田 真介
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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芹川 威
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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古賀 久士
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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田中 秀憲
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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福山 尚哉
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital
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古賀 325伸彦
Cardiovascular Center of Shin-Koga Hospital