上腸間膜動脈の細菌性動脈瘤破裂に対し, 動脈塞栓術が有効であった感染性心内膜炎の1例
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概要
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症例は29歳, 男性. メチシリン感受性ブドウ球菌を原因菌とした僧帽弁置換術後の感染性心内膜炎にて入院. 来院時には無症候性の脾梗塞と小脳梗塞を発症していた. 高感受性のCEZとGMの併用投与にても感染コントロールは当初不十分であり, 第9病日に腹部の激痛を訴え, 緊急腹部造影CTにて上腸間膜動脈の細菌性動脈瘤破裂が疑われた. 腹部血管造影にて瘤破裂を確認し, コイル留置とCEZ動注後のNBCA(N-butyl cyanoacrylate)による塞栓術を併用して止血に成功した. 術後は腸管虚血徴候もなく, 抗生物質をPAPM/BPに変更することで炎症反応の改善と疣腫の消失が得られた.<BR>上腸間膜動脈の細菌性動脈瘤破裂は, 稀ではあるが致死的な合併症である. 破裂時の動脈塞栓術はカテーテルアプローチが可能であり, かつ塞栓による疎血範囲が小範囲で済む場合は低侵襲かつ迅速な止血が可能であり, 有効な対処法と考えられた.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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猪又 孝元
Department of Cardio-Angiology, Kitasato University School of Medicine
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品川 弥人
Department of Cardio-Angiology, Kitasato University School of Medicine
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西成 真琴
Department of Cardio-Angiology, Kitasato University School of Medicine
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成毛 崇
Department of Cardio-Angiology, Kitasato University School of Medicine
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西巻 博
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kitasato University School of Medicine
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和泉 徹
Department of Cardio-Angiology, Kitasato University School of Medicine