Fluorine-18 fluorodeoxyglucose(18F-FDG)投与法(前処置)による18F-FDG局所心筋取り込みの差異
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概要
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心臓18F-FDG positron emission tomography(PET)では, 18F-FDG投与前処置法により, 左室局所心筋18F-FDG uptakeが変化することが知られている. 今回, 正常例45例を15例ずつ, 空腹時法, 糖負荷法(血糖値によりインスリン使用), インスリンクランプ法の3群に分け, これら前処置法による18F-FDG uptakeの左室心筋局所分布の差と心臓18F-FDG PETの診断能に及ぼす影響を検討した. 3群とも, 左室心筋内の18F-FDG uptakeは不均一であった. インスリンクランプ群と糖負荷群では, 18F-FDG分布パターンは類似していたが, 空腹時群では, %18F-FDG uptakeの最小部位に違いを認めた. さらに, インスリンクランプ群は, 糖負荷群よりも各領域内のuptakeの変動の少ない画像を形成した. 次に, 虚血性心筋症5例でインスリンクランプ群と糖負荷群で, 心筋viabilityの診断能を検討した. 感度と特異度は, 糖負荷群とインスリンクランプ群でそれぞれ, 75%と72%, 90%と93%で, インスリンクランプ群で, 特異度が有意(p<0.001)に良好であった. 糖負荷群で特異度が低かった理由として, 正常部位の18F-FDG uptakeが低いために, 相対的に非生存心筋部位のuptakeが高くなり, 疑陽性が増えたと考えられた. 18F-FDGuptakeの心筋内分布は, 前処置法により変化するが, 画像の質や心筋viability診断能からすると, 前処置法としては, インスリンクランプ法が最もよい方法と思われた.
著者
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中屋 良宏
Division of Diagnostic Imaging, Shizuoka Cancer Center Hospital
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坂田 和之
Division of Cardiology, Shizuoka Cancer Center Hospital
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飯田 圭
Division of Cardiology, Shizuoka Cancer Center Hospital
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望月 直穂
Division of Cardiology, Shizuoka Cancer Center Hospital
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伊藤 至俊
Division of Diagnostic Imaging, Shizuoka Cancer Center Hospital
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加藤 美和
Division of Diagnostic Imaging, Shizuoka Cancer Center Hospital
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下山 裕之
Division of Diagnostic Imaging, Shizuoka Cancer Center Hospital