倒錯型心室頻拍に対する電気的除細動を契機にたこつぼ心筋障害を発症した1例
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概要
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患者は意識消失を繰り返し生じた80歳の男性で, 入院時の血液検査やMRIでは明らかな異常所見は認められなかった. 心電図では心拍数49/分 整の心室調律でQT延長が認められた. 入院後の病室で一過性の意識消失を生じたが, その際のモニター心電図で倒錯型心室頻拍(torsade de pointes; TdP)が認められたためマグネシウム静脈内投与および一時ペーシングによる治療を行った. 第2病日にTdPから心室細動に移行したため電気的除細動が行われた. 3時間後に施行した99mTc-tetrofosmin心筋シンチグラフィでは心尖部を中心として高度な集積低下所見が認められた. 断層心エコー図検査では心尖部の無収縮および心基部の過収縮が認められため, 冠動脈造影を施行した. 左右冠動脈に狭窄病変は認められず, エルゴノビン負荷でも冠攣縮は誘発されなかった. 左室造影では心基部の過収縮および心尖部の風船様無収縮が認められた. このため, たこつぼ心筋障害と診断した. 第4病日の123I-MIBG心筋シンチグラフィでは無収縮が認められた領域で高度な集積低下所見が認められた. TdPにたこつぼ心筋障害を合併した稀な症例を経験したが, それらの発症機序に交感神経の関与が示唆された.
著者
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長尾 強志
Department of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital
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伊藤 一貴
Department of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital
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鶴山 幸喜
Department of Cardiology, Inuyama Chuou Hospital