進行性の左室収縮機能障害と僧帽弁閉鎖不全症および換気不全を呈した全身性強皮症の1例
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概要
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3年前から中等度の僧帽弁閉鎖不全症(左室駆出率65%) と診断されていた73歳, 女性が, 息切れを主訴に入院した. 心エコー図検査では重度の僧帽弁閉鎖不全症と左室収縮能障害(左室駆出率35%)を認めた. また高炭酸ガス血症(PaCO2 60mmHg)があり, 肺機能検査で拘束性換気障害を認めた. 肺の間質性変化は軽度で, 体幹部の皮膚の硬化と肋間筋の萎縮があり, 胸郭の運動制限によるII型呼吸不全と考えた. 利尿薬による心不全治療, 陽圧人工呼吸器による換気補助を施行したが, うっ血性心不全が進行し入院から10カ月後に死亡した. 剖検では体幹の皮膚, 食道, 心筋および乳頭筋, 肺, 横隔膜, 膀胱など広範囲な線維性変化を認め全身性強皮症と診断した. 左室心筋および乳頭筋には炎症性細胞の浸潤と線維化がみられ, 左室収縮機能障害と僧帽弁閉鎖不全症の原因と考えられた. また体幹部の皮膚の硬化と肋間筋および横隔膜の線維化により, II型呼吸不全をきたしたと考えられた.
著者
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菅野 裕幸
Department of Pathology, Iwate Medical University School of Medicine
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瀬川 利恵
Second Department of Internal Medicine, Iwate Medical University School of Medicine
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中村 元行
Second Department of Internal Medicine, Iwate Medical University School of Medicine
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佐久間 雅文
Second Department of Internal Medicine, Iwate Medical University School of Medicine
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澤井 高志
Department of Pathology, Iwate Medical University School of Medicine