Donepezilを使用した容量負荷心不全マウスにおける心機能改善効果, 生存率改善効果の検討
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概要
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背景: われわれは迷走神経刺激やアセチルコリン(ACh)を介した心筋保護効果についてこれまで報告を行っている. 臨床応用を目的とした低侵襲で簡便にAChを誘導させる方法として, 一般に臨床で用いられている経口コリンエステラーゼ阻害薬, アルツハイマー治療薬, Donepezilに着目し, 容量負荷心不全マウスモデルに対する心筋リモデリング抑制効果, 生存率改善効果について検討した.<BR>方法と結果: 動静脈シャント作成4週間後に心不全マウスを無作為に治療群, 無治療群に分類した. Donepezilは5mg/kg/日で経口投与を行った. 治療4週間後, ランゲンドルフ還流心装置により左室圧容量曲線を作成し機能評価を行った. 無治療群と比較すると治療群では有意差を持って左室収縮末期圧容量曲線の上昇が認められた. Donepezil投与により心筋重量体重比は有意差を持って減少した(6.14±0.16 vs 5.68±0.17mg/g, P<0.05). 無治療群での140日生存率は30%以下であり, Donepezilは生存率を劇的に改善させた(73% vs 28%, P<0.05). また治療群では有意差を持って心房性Na利尿ペプチドの加算増加, 脳性Na利尿ペプチドの減少が認められた.<BR>結語: 今回の検討により, Donepezilは心不全ポンプ失調と心筋リモデリングを予防し, 心不全の生存率を改善させる可能性が示唆された.
- Japan Heart Foundationの論文
著者
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柿沼 良彦
Department of Cardiovascular Control, Kochi Medical School
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笹栗 志朗
Department of Surgery 2, Kochi Medical School
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佐藤 隆幸
Department of Cardiovascular Control, Kochi Medical School
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半田 武巳
Department of Surgery 2, Kochi Medical School
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安藤 元規
Department of Cardiovascular Control, Kochi Medical School
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山崎 文靖
Department of Clinical Laboratory, Kochi Medical School
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カタレ ラジェシュG
Department of Cardiovascular Control, Kochi Medical School
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有川 幹彦
Department of Cardiovascular Control, Kochi Medical School