急性期の心電図変化に乏しい逆たこつぼ心筋障害の1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は73歳, 女性. 驚愕の後に胸部圧迫感が出現したため来院した. 心電図ではIII, V3, 4誘導で軽度のST低下を認め血液学的検査では異常所見は認められなかったが, 断層心エコー図では心室中部に無収縮が認められた. 冠動脈造影で有意狭窄は認められなかったが, 左室造影では心尖部および心基部の過収縮, 心室中部の無収縮が認められた. 経時的な血液検査でも心筋逸脱酵素値の有意な上昇は認められず, 第2病日の心電図ではI誘導でT波の平低化, V4誘導で軽度のST低下を認めるのみであった. しかし, 第3病日には広範な誘導で陰性T波が認められた. 第3病日の99mTc-Tetrofosmin心筋シンチグラフィでは左心室中部に集積低下所見が認められた. 心電図および壁運動の異常は第7病日で正常化した. 経過から本症例は, いわゆる逆たこつぼ心筋障害と考えられたが, 急性期の心電図変化に乏しい症例であった. このような所見は報告がなく非常に稀な病態と考えられた.
著者
-
長尾 強志
Cardiology Division, Inuyama Chuou Hospital
-
伊藤 一貴
Cardiology Division, Inuyama Chuou Hospital
-
鶴山 幸喜
Cardiology Division, Inuyama Chuou Hospital