骨粗鬆症を有する女性の大腿骨近位部骨折に対するカルシトニン製剤の鎮痛効果
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概要
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骨粗鬆症の治療薬であるカルシトニン製剤は骨密度の増加効果のほかに鎮痛効果もあるとされている.今回,高齢者に多い大腿骨近位部骨折症例に対して女性を対象に本剤の鎮痛および術後経過に対する効果について検討した.対象は大腿骨近位部骨折に対して手術が施行された女性31例,83.7±8.1歳である.カルシトニン製剤を術後6日目から週1回20単位を筋注投与する投与群20例と投与をしない非投与群11例について術後3日,1週,その後1週ごとに術後5週までの安静時痛と運動時痛および歩行器自立までの術後日数を調べた.痛みの評価にはface visual analogue scale(f-VAS)を用い,受傷時の痛みを100 mmとした.f-VASは運動時痛において2群間で有意差は認めなかったが,安静時痛においては投与群において術後1週,2週で低下していた(p<0.05).術後の歩行器自立までの日数は投与群で17.8±8.4日,非投与群で26.4±15.9日で投与群にて短縮していた(p<0.05).カルシトニン製剤の投与により,大腿骨近位部骨折の治療において安静時痛の軽減と歩行器自立までの期間短縮が得られ,有効であった.