高度聴覚障害児における因果推論の発達に関する検討
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概要
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高度聴覚障害児(聴障児)の因果性の推論による説明(因果推論)の発達特性を明らかにするために聴覚特別支援学校小学部2~3年生の聴障児21名と3~6歳の聴力正常な典型発達児(聴児)61名を対象にし,因果推論課題を用いて検討した.課題は知識領域と概念水準の二側面について結果を分析した.その結果,聴障児のうち因果推論の正答率高得点例では事象の変化・事物の特性は良好で,自然の変化で低下した.低得点例では,事物の特性でも低下し,4~6歳の聴児と共通した傾向を示した.聴障児では知識領域の使用は良好であるが概念水準で遅滞を示した.因果推論は読解能力と相関が高く,本評価に基づく個別指導の有用性が示唆された.本研究で用いた3種課題と,知識領域と概念水準の2側面の評価は,因果推論説明の発達特性の検討に有用と考えられた.
著者
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廣田 栄子
Graduate School of Comprehensive Human Sciences, University of Tsukuba
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野原 信
Pediatrics, Department of Clinical Services and Technology, Asahi General Hospital