透析患者の口腔内衛生状況についての調査と残存歯数からみた栄養状態に関わる臨床検査値との関連性についての評価
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概要
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血液透析患者103名を対象に口腔内衛生状況の調査を行い,非透析患者103名との比較を行った.透析患者の残歯数は15.2±10.1本であり,う蝕38名(36.9%),歯周病87名(84.5%)であった.義歯使用者は54名(52.4%)で,19名(35.2%)が義歯不適合であった.99名(96.1%)の透析患者が口腔ケア,治療が必要と診断された.非透析患者の残歯数は21.2±7.6本で,義歯使用者は37名(35.9%)であり,透析患者のほうが残歯数は有意に少なく,義歯使用者が多かった(p<0.05).歯周病は透析患者,非透析患者ともに高率に合併していた.糖尿病合併者では透析患者に歯周病が多く,4 mm以上の歯周ポケットを有する透析患者が多かった.残歯20本以上有する透析患者は40名(38.8%)であり,非透析患者の71名(68.9%)と比較して有意に少なかった(p<0.05).透析患者では非透析患者と比較して55歳以上で残歯数は少なく,残歯20本以上の患者割合も55~79歳では少なかった.残歯数9本以下,10~19本,20本以上の3群に分けると,残歯10本以上でう蝕,歯周病の罹患率は有意に高率であった(p<0.05).残歯9本以下でAlb 3.4±0.5 g/dLを示し,ほかの2群と比較して有意に低値を示した(p<0.05).GNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)も残歯9本以下で84.5±14.3と基準値91を下回り有意に低値を示した(p<0.05).残歯が10本以上あれば栄養状態と関連する臨床検査値の目標値達成率は高くなるが,う蝕,歯周病の罹患率も増大するため,歯を失わないために口腔ケアが重要であると考えられた.
著者
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島谷 浩幸
堺温心会病院歯科
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藤田 淳也
堺温心会病院血液浄化療法部
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脇川 健
堺温心会病院血液浄化療法部
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西平 綾子
堺温心会病院血液浄化療法部
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仙頭 和可子
堺温心会病院歯科
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松井 信子
堺温心会病院歯科
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