維持血液透析患者に対するナルフラフィン塩酸塩の長期投与(2年間)効果
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概要
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血液透析患者のそう痒症は難治性であり,患者のQOLを低下させ,予後にも悪影響を与える因子として注目されている.2009年3月に,既存治療で効果不十分な血液透析患者のそう痒症に対してナルフラフィン塩酸塩(ナルフラフィン)が臨床使用可能となった.今回,われわれは,既存治療抵抗性そう痒症を有する血液透析患者にナルフラフィンを投与し,2年(104週)にわたる長期間の有効性と安全性を検討した.投与前のvisual analogue scale(VAS)が70 mm以上またはかゆみの重症度判定基準(白取分類)が3(中等度)以上で,104週間継続投与可能であった13名を対象とした.初期投与量は2.5 μg/日とし,VASおよび白取分類をはじめとするアンケート調査を定期的に行った.投与後のVAS平均値および白取分類の日中のかゆみスコアの平均値は,有意に低下していた.夜間のかゆみスコアの平均値は,投与前に比し104週目で有意に低下していた.不眠の頻度も減少し,74週目には不眠があると回答した患者は0名となり104週目まで継続した.そう痒症の改善が認められないため5 μg/日に増量した患者は3名のみであり,耐性の出現による効果の減弱は認められなかった.副作用は,すべて投与開始2週間以内に出現し,以後認められなかった.ナルフラフィンは,長期間の投与において有効であり,安全性も高いと考えられた.
著者
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高橋 直子
Akane Foundation Omachi Tsuchiya Clinic
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熊谷 純子
Akane Foundation Omachi Tsuchiya Clinic
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吉澤 拓
Akane Foundation Omachi Tsuchiya Clinic