不織布を増量した環境除菌ワイパーの評価
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概要
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現在市販されているアルコール系環境除菌ワイパー(A剤)を対照として,新しく開発された環境除菌ワイパー(B剤)を3条件下で,臨床分離株であるCTX M–1型extended-spectrum β–lactamase (ESBL)–E. coli, carbapenemsおよびquinolones耐性Pseudomonas aeruginosa (2剤耐性緑膿菌),Acinetobacter baumannii (A. baumanii), MRSA (PBP–2′ 産生)およびVanB型vancomycin-resistant enterococcii (VRE)に対する発育阻止能で除菌効果を評価した. ステンレストレイを用いたA剤およびB剤の1回拭取りによる薬剤効果の持続性検討では,A剤の持続性は検出感度以下であった.しかし,B剤は4時間以降にESBL–E. coli, A. baumaniiおよびMRSAが99.99%以下に減少し,他の2菌種はそれぞれ4+から2+, 1+へと菌数減少した. スキムミルク調整菌液による検討でA剤は全菌種にわずかな菌数減少しか認めなかったが,B剤では2剤耐性緑膿菌,MRSAおよびVREが99.99%以下に減少した.しかし,他の2菌種の菌数減少はわずかだった. 使用中の便座を用いた検討では,その右側(A剤)と左側(B剤)による拭き取りによる菌数減少を比較した.B剤の菌数減少はA剤より統計学的な有意差が認められた. 以上の結果はB剤がA剤の10倍量のベンザルコニウム塩化物と界面活性剤を含有し,さらに増量した不織布使用のためと考えられ,医療関連感染対策に有効なものと考えられた.
著者
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正木 孝幸
化学及血清療法研究所
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山本 美樹
寿量会熊本機能病院 看護部
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正木 孝幸
化学及血清療法研究所臨床検査センター
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松本 健吾
寿量会熊本機能病院 薬剤部
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今泉 隆志
寿量会熊本機能病院 麻酔科