加圧創皮下洗浄用具の新たな工夫—表層切開部位SSI予防効果の検討—
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概要
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消化器外科手術の手術創を生理食塩水で洗浄することは手術部位感染(SSI)予防に効果的である.今回,創洗浄方法の違いによって表層切開部位SSIの発生状況に差があるかどうかを比較検討した.対象は2009年4月から2011年3月までに当院外科で消化器外科手術を実施された患者452例.第1期:2010年3月以前は50 mLのカテーテルチップを用いて生理食塩水で加圧せず洗浄した.第2期:2010年4月以降はパルス洗浄器の先端ノズルに静脈留置針外筒を装着し,用手的に加圧洗浄と吸引を連動させる器具を考案し創洗浄した.第1期に比して第2期は表層切開部位SSIの発生数,発生率ともに減少したが統計学的有意差はみとめられなかった(第1期13/213発生率6.1%,第2期6/239発生率2.5%, p=0.063).我々の考案した改良型加圧洗浄器を用いて閉創前加圧皮下洗浄することによって表層切開部位SSIの低減に効果が期待できることが示唆された.この方法は洗浄液の飛散なく短時間で容易に実施でき有効で,コスト面でも有益である.
著者
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久米 真
The Division of Infection Control and Clinical Epidemiology, Murakami Memorial Hospital Asahi University
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尾崎 明人
The Division of Infection Control and Clinical Epidemiology, Murakami Memorial Hospital Asahi University