S状結腸の真性憩室入口部に発生した進行大腸癌の1例
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概要
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大腸憩室に発生した癌の報告は稀である.S状結腸真性憩室に発生した進行大腸癌症例を経験したので報告する.症例は66歳女性.主訴は便潜血陽性.下部消化管内視鏡および造影検査でS状結腸に径20×15mm,肉眼型は平坦な隆起病変であり,0-Isの早期癌の所見であった.憩室の所見は術前には確認できなかった.超音波内視鏡検査で腫瘍は固有筋層への浸潤が疑われた.当初腹腔鏡下手術を計画したが,術中所見で周囲組織の癒着が高度で浸潤も否定できず,開腹移行しS状結腸切除術を施行した.切除標本の肉眼所見では,憩室の開口部に腫瘍を認めた.腫瘍のサイズは20×20mm大で,憩室開口部は2mmであった.病理検査の結果,嚢状構造は,筋層を有する真性憩室であった.S,0-Is,20×20mm,pSS,pN0,sH0,cP0,cM0,fStage IIの進行癌であり,組織学的にはtub1で先進部に粘液成分も認めた.