知識経済時代における顧客価値視点からの経営戦略
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
既存の競争戦略論の焦点は,自社が同産業の他企業よりも高い収益を獲得することにある。しかし,日本の多くの産業の市場成長率は伸び悩んでおり,売上の自社取り分を巡る熾烈なシェア争いが行われている。知識経済時代では専門知識や経験を有する顧客にとっての顧客価値が重要であるが,既存の戦略論は顧客価値起点でないことが多く,企業にとっての効率性や収益性が重視される。本稿では停滞中の映画産業における,顧客価値視点を備えた企業と欠いている企業の2社について事例研究を行い,一企業の売上ならびに産業全体の売上高を向上させるには既存の戦略論を実行する前に,顧客価値視点で戦略的思考を行う必要があることを明らかにする。