肺原発悪性黒色腫の1手術例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は85歳女性.血痰を主訴に近医受診し胸部異常陰影を指摘され,精査加療目的に当院紹介となった.気管支鏡検査で右中葉気管支枝を閉塞するポリープ状腫瘤を認め,生検にて悪性黒色腫の病理診断を得た.悪性黒色腫の既往はなく,他部位にも原発を疑わせる病巣は認めないため,肺原発悪性黒色腫と診断した.上葉・下葉にも転移を疑わせる異常陰影を認めたが,完全切除可能と判断し,胸腔鏡下右肺中下葉切除術,上葉部分切除およびリンパ節郭清術を施行した.術後病理検査で多発する結節病巣は器質化肺炎が主体で悪性所見を認めなかったが,下葉には経気道的転移病巣を僅かに認めた.病理病期T4N0M0 stage 3Aで,術後補助療法なしで経過観察中である.肺原発悪性黒色腫は予後不良な疾患であるため,慎重な観察が必要である.
著者
-
中川 達雄
Department of Thoracic Surgery, Tenri Hospital
-
徳永 義昌
Department of Thoracic Surgery, Tenri Hospital
-
齋藤 正男
Department of Thoracic Surgery, Tenri Hospital
-
近藤 健
Department of Thoracic Surgery, Tenri Hospital