甲状腺術後の迷入性縦隔内甲状腺腫の1例
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概要
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症例は41歳の女性,37歳時に腺腫様甲状腺腫に対して甲状腺右葉切除を受けていた.健康診断の胸部X線で異常陰影を指摘され当院を受診した.胸部CTで上縦隔から前縦隔にかけて64 mm大の分葉状の腫瘤と,甲状腺左葉下極に接する16 mm大の結節を認め,FDG-PETではSUVmax 2.63の軽度の取り込みがあった.胸骨正中切開にて摘出し,腺腫様甲状腺腫の病理組織診断を得た.腫瘍は甲状腺とは連続しておらず迷入性縦隔内甲状腺腫と診断した.縦隔内甲状腺腫は縦隔腫瘍手術症例の3.1%であり,迷入性縦隔内甲状腺腫はその2~2.4%を占めるのみであり稀である.また,腺腫様甲状腺腫には甲状腺癌の合併が7~20%にみられるが,甲状腺癌の11~48%はFDG-PET陰性であり,診断には注意を要する.縦隔腫瘍の患者に腺腫様甲状腺腫の既往のある場合は特に縦隔内甲状腺腫を念頭におき鑑別を進める必要があると考えられた.
著者
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島田 順一
Department of Thoracic Surgery, Kyoto Prefectural University of Medicine
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一瀬 かおり
Department of Thoracic Surgery, Saiseikai Suita Hospital
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西村 元宏
Department of Thoracic Surgery, Saiseikai Suita Hospital