アルコール性肝炎,肝不全との鑑別を要したkwashiorkor型栄養障害の1例
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概要
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症例は54歳男性.1年前に失業してからアルコールを多飲し,不適切な食生活を続けていた.2010年11月某日に自宅で倒れているのを発見され搬送された.主たる病態について,アルコール性肝炎・肝不全との鑑別に悩んだが,入院時の臨床症状,各種データよりkwashiorkor型栄養障害と診断した.来院時は重篤な状態であったが,蛋白補給に配慮した栄養管理を行い,42日目に独歩で退院された. 低栄養状態の重症型であるkwashiorkor型栄養障害は,エネルギーに比べ蛋白の摂取が著しく低下した病態を示す.皮膚病変,著明な浮腫,慢性下痢,低蛋白血症や貧血を来し,低脂血症にも関わらず脂肪肝がみられる.本例のようにアルコール多飲歴のある患者では,単なるアルコール性肝炎・肝不全としてしまいがちだが,その治療として蛋白負荷が必要であるため,病態の正確な把握に努めるべきである.
著者
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田中 忍
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital
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小林 奈津子
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital
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松村 真生子
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital
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田代 興一
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital
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太島 丈洋
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital
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小島 英吾
Department of Gastroenterology, Nagano Chuo Hospital