調味液の加熱香気成分とコク寄与成分の解析
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概要
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市販つゆとコク強度が異なる二種類の自作つゆの加熱香気成分の分析を行った.AEDA 法ではロースト様,スモーキー様,サワー様のいずれかの香気特性を有する香気化合物が多く検出された.ロースト様の香気には主としてピラジン類が寄与していた.サワー様の香気特性では 3-Methylbutanol,Acetic acid,2-Furanmethanol が高い寄与を示した.したがって,これらの揮発性化合物の総和がつゆの加熱香気の形成に重要な役割を果たしていることが示唆された.同定されたつゆの加熱香気成分の中から,つゆのコクに寄与する化合物の探索を行った.コク強度が異なる二種類の自作つゆ間で定量値に有意差が認められた化合物,または FD factor に差が見られた化合物の中から 10種の化合物を選択し,0.5 % NaClと0.3 % Glu-Na を含む水溶液中に添加し,二点試験法によりコク寄与成分の選別を行った.これより,2-Acetylfuran,2-Ethylhexanol,1-Octen-3-ol に対しコクへの寄与が認められた.また,香気が感じられない状態では,これらの化合物を添加したつゆでコクの知覚強度に有意な差が見られず,"香り"がコクの形成や増強に寄与していることが示された.
著者
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渡辺 寛人
Departments of Life Science, Meiji University
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早瀬 文孝
Departments of Agricultural Chemistry, Meiji University
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早瀬 文孝
Department of Agricultural Chemistry, The University of Tokyo
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高萩 康
Departments of Agricultural Chemistry, Meiji University