止血目的に緩和的放射線治療を2度施行した切除不能進行胃がんの1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
【症例】切除不能進行胃がんからの持続する出血により重度の貧血をきたし, 頻回の輸血が必要であった60歳代, 女性の症例を報告する. 出血コントロールのため, 胃がんに対して30 Gy/10回の放射線治療施行. タール便はすぐに止まり, ヘモグロビン値は上昇し, 輸血は不要となった. 1カ月後, 照射がなされた領域辺縁部から再出血. 24 Gy/8回の追加照射により止血は成功. 患者は4カ月間輸血の必要がなく良好に過ごした. 【考察】進行胃がんからの出血は, 腫瘍が摘出されなければそのコントロールは難しい. 内視鏡的な止血は困難な時が多い. 血管内治療(IVR)は動脈性出血であれば適応の可能性はある. しかし, 持続する静脈性出血の適応には議論の余地がある. われわれは放射線治療の実施により, 重大な合併症を引き起こすことなく止血することに成功した. それゆえ放射線治療は, 切除不能進行胃がんからの持続する静脈性出血に対して合併症に十分注意すれば有効な治療法になると考えられる.
著者
-
中野渡 正行
札幌厚生病院第1消化器科
-
本間 次郎
札幌厚生病院 緩和ケア内科
-
尾崎 鈴子
札幌厚生病院 緩和ケア内科
-
福原 敬
札幌厚生病院 緩和ケア内科
-
飯田 道夫
札幌厚生病院 緩和ケア内科
-
乙黒 雄平
同 消化器内科
-
鈴木 恵士郎
同 放射線科
-
中野渡 正行
札幌厚生病院 緩和ケア内科
関連論文
- 8.潰瘍性大腸炎における顆粒球除去療法(GCAP)の臨床成績 : ステロイドナイーブ例とステロイド既存投与例を比較して(一般演題,日本アフェレシス学会第29回北海道地方会抄録)
- 9.クローン病に対する顆粒球吸着除去療法(GCAP/GMA)の有用性と位置づけに関する考察(一般演題,日本アフェレシス学会第29回北海道地方会抄録)
- ダブルバルーン小腸内視鏡検査による Peutz-Jeghers 症候群の治療における検討
- 縦列傾向のある食道アフタを認めた Crohn 病の1例
- 止血目的に緩和的放射線治療を2度施行した切除不能進行胃がんの1例