終末期がんの難治性せん妄に, 減圧目的の胃瘻からのバルプロ酸ナトリウム投与が有用であった1例
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概要
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【目的】減圧目的の胃瘻からのバルプロ酸ナトリウム投与により有効な血中濃度が得られ, せん妄と薬剤性錐体外路症状緩和に有用であった症例を経験したので報告する. 【症例】70歳代, 男性. 膀胱がん. がん性腹膜炎による麻痺性腸閉塞のため, 減圧目的の胃瘻が造設されていた. せん妄を発症しハロペリドール持続注射を行ったが, 薬剤性錐体外路症状とみられる振戦により継続困難であった. そのため, 減圧目的の胃瘻からバルプロ酸ナトリウムを投与すると, 十分な血中濃度上昇を認め, 臨床的にも易怒性軽減を認めた. クエチアピンフマル酸塩も併用し, 最終的にハロペリドールは中止可能となり, 振戦も改善した. 【結論】内服が困難な場合, 薬剤が限られ, 症状緩和に難渋することが多い. 本症例から, 他の経路からの薬剤投与が困難な場合に限り, 難治性せん妄に対する減圧目的の胃瘻からのバルプロ酸ナトリウム投与が効果的である可能性が示唆された.
著者
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前田 隆司
がん・感染症センター 都立駒込病院 緩和ケア科
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鈴木 梢
がん・感染症センター 都立駒込病院 緩和ケア科
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黒田 俊也
深澤りつクリニック
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嶋津 奈
横浜市立みなと赤十字病院 精神科
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藤井 由貴
横浜市立みなと赤十字病院 緩和ケア科
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宮崎 百合
横浜市立みなと赤十字病院 薬剤部
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田中 桂子
がん・感染症センター 都立駒込病院 緩和ケア科