シリカ担持リン化ルテニウム触媒によるピロールの水素化脱窒素反応
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概要
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ピロールの水素化脱窒素反応に対するシリカ担持リン化ルテニウム(Ru2P)の触媒特性について検討し,Ru/SiO2触媒のHDN特性と比較をすることでリン化処理の効果を明確にすることを目的とした。W/F=652 g h mol−1では,Ru/SiO2触媒のピロール転化率は還元温度を上昇させると著しく低下した。一方,同じW/FでのP添加Ru(Ru–P/SiO2)触媒のピロール転化率は還元温度を上昇させると向上し,これはRu2Pの生成によるものと考えられた。この活性は硫化処理したNiMoP/Al2O3触媒の活性よりも高かったが,Ru触媒の活性よりも低いことが分かった。W/Fを低下させると,Ru–P/SiO2触媒はRu触媒よりも高く,安定な活性を示すことが分かった。また,Ru/SiO2触媒上ではクラッキング生成物(大部分がCH4)が得られ,Ru–P/SiO2触媒上では主にブタンが生成した。CO吸着およびTEMの結果から,Ru–P/SiO2触媒の粒子径はRu触媒よりも小さいことが明らかとなった。Ru–P/SiO2触媒のTOFは還元温度の上昇により向上したが,Ru/SiO2触媒のTOFよりも低かった。Ru/SiO2触媒の粒径分布のピークは,HDN反応を行うと粒子径が大きい方にシフトするのに対し,Ru–P/SiO2触媒の粒径分布はHDN反応後でもピークのシフトは見られなかった。以上のことから,Ru–P/SiO2触媒がRu/SiO2触媒よりも安定な活性を示したのは,過剰なリンがアンカーとして働くことでRu2P粒子の凝集を防ぐことができたためと推測される。
著者
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杉岡 正敏
Aeronautics and Astronautics Unit, College of Design and Manufacturing Technology, Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology
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荒木 徹
Div. of Applied Sciences, Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology
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上道 芳夫
Applied Chemistry Research Unit, College of Environmental Technology, Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology
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神田 康晴
Applied Chemistry Research Unit, College of Environmental Technology, Graduate School of Engineering, Muroran Institute of Technology