がん化学療法の役割と実践
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
固形がんに対する化学療法の目的は,多くの場合延命と症状緩和である。抗腫瘍効果の高い治療法が開発され,完全消失例も散見されるようになったとはいえ,基本的に治癒を期待して行うものではないことを理解する必要があり,ベネフィットとリスクとのバランスを考慮して適応を考えることが重要である。一方,進行がんに対する切除の治療成績向上のため,様々な補助療法が行われている。多くは術後の補助療法であり,胃がん,大腸がん,膵がん,肺がんなど多くの疾患で術後補助化学療法による生存期間の延長が証明されている。抗がん剤は有効域と毒性域の差が小さく,有効性を期待する用量用法で容易に副作用が発生する。つまり,他の薬剤に比べ,安全性への配慮が重要となる。また,最近では分子標的薬など新しい薬剤が次々と登場し,適応や副作用対策も複雑となっている。化学療法の安全確実な実施を進めるため,杏林大学病院では腫瘍内科を中心としてがんセンターを運営している。本学がんセンターでは,安全管理として,レジメンの評価と登録,複数のスタッフによるチェック,化学療法専用のエリアでの実施が進められている。近年,がん化学療法の進歩は著しいが,より有効な治療法の開発や高齢者に対する適切な治療適応など,まだまだ課題も多い。これらの課題克服には,質の高い臨床試験を進めていく必要がある。
著者
関連論文
- 胆管癌に対する化学療法
- 膵癌のリスクファクターとしての糖尿病 : 効率的な膵癌スクリーニングを目指して
- 肝癌に対する新規薬剤
- がん化学療法の役割と実践
- P1-333 Cetuximab及びPanitumumab投与患者における血清電解質値の変動に関する後方視的検討(がん薬物療法(その他),ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- P1-211 XELOX療法の有害事象が糖尿病の血糖管理に受ける影響についての調査(がん薬物療法(他の副作用対策),ポスター,一般演題,岐路に立つ医療〜千年紀の目覚め〜よみがえれ!ニッポン!薬の改革は我らが手で!)
- タイトル無し