東日本大震災に派遣された消防官の惨事ストレスとメンタルヘルスについての横断研究
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概要
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平成23年3月11日に発生した東日本大震災の被災地に派遣された消防官の惨事ストレスとメンタルヘルスを把握する目的で,平成23年8月,他県から派遣された消防官178人に対して出来事インパクト尺度改訂版(IES- R)などを使用して調査した。有効回答者は126人,全員男性で,平均年齢は40.9歳(22~58歳),被災者の救援活動任務が85人,派遣職員の後方支援任務は41人であった。派遣回数は平均1.6回(1~6回)であった。IES-R得点の平均は4.0±4.9点(0~21点)で,心的外傷後ストレス障害(PTSD)の危険性が指摘される25点以上の職員の存在は認めなかった。その理由として,被災地外である居住地に帰還して惨事ストレス曝露の機会が無くなった可能性が考えられた。IES-R 得点に対する惨事ストレス要因ごとでの比較検討した結果,派遣消防官のメンタルヘルスの危険因子として「派遣回数の多さ」,「災害発生当日の派遣」,「救援活動任務」のほか,新たに「被害甚大な被災地での滞在」が示唆された。
著者
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和田 貴子
Department of Paramedic, Faculty of Health Sciences, Kyorin University
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岡本 博照
Department of Preventive Medicine and Public Health, School of Medicine, Kyorin University
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野島 真美
The master's degree program of International Public Health and Medical System, Graduate School of International Cooperation Studies, Kyorin University
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神山 麻由子
Department of Paramedic, Faculty of Health Sciences, Kyorin University
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角田 透
Department of Preventive Medicine and Public Health, School of Medicine, Kyorin University
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野島 真美
The master's degree program of International Public Health and Medical System, Graduate School of International Cooperation Studies, Kyorin University