『"チャネル機能"を視る』 イメージングによるイオンチャネル分子機能解析
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概要
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細胞内Ca2+シグナルは,発生から神経伝達物質の遊離,筋収縮,遺伝子発現,高次脳機能に至るまで様々なレベルの生命現象に関与している.その細胞内Ca2+動態を調節し,生体の恒常性を維持する上で本質的な役割を担っている分子の一つがイオンチャネルである.多彩かつ重要な細胞機能を制御する細胞内 Ca2+変動とその制御に関わるイオンチャネル分子を可視化(イメージング)して,その動態を追跡することは,各種臓器機能とその病態での変化を解明する上で極めて意義深い.さらに,新規治療薬を開発する上でも,創製した薬物が細胞内Ca2+濃度やイオンチャネル活性に及ぼす効果は,薬効を担う重要な因子となっている.本研究では,電気生理学と遺伝子工学を基盤としたイオンチャネルの分子機能解析に,高速走査型共焦点レーザー顕微鏡(confocal imaging),全反射蛍光顕微鏡(TIRF imaging),一分子可視化法(single-molecule imaging),ブリーチングステップ法(bleaching-step analysis),蛍光共鳴エネルギー移動法(FRET analysis)などの先端的イメージング技術を導入した.これらの画像解析と電気生理応答の同時測定によって,細胞内Ca2+シグナルと機能的に共役するイオンチャネルならびにその分子複合体の生理的意義の解明を目指した.本研究の成果は,①細胞内Ca2+動態を制御する分子群の機能的連関の解明,②細胞内の限局した領域で発生するCa2+シグナルの画像解析の展開,③イオンチャネルの一分子動態と分子間相互作用の可視化に大きく寄与した.本研究で構築した高度イメージング技術と電気生理学的情報に基づいたイオンチャネル分子機能解析は,薬理学領域の発展およびイオンチャネル標的創薬の推進に大きく貢献できると考えられる.