シンジオタクチック1, 2-ポリブタジエンの構造と基礎物性
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概要
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シンジオタクチック1, 2-ポリブタジエンの分子鎖構造と基礎物性の関係の研究を意図して, 結晶化度の異なる一連の試料 (結晶化度46%以下) が, 竹内らによって先に報告された方法によって作製された.<BR>赤外及びC<SUP>13</SUP>-NMRスペクトルの分析結果から立体規則性にシンジオ構造をとる1, 2給合の分率が結晶化度を支配する主な因子であり, その分率の約40%が結晶相に組み込まれていることを明らかにした.<BR>結晶形態の観察はOsO<SUB>4</SUB>で染色された超薄切片を電子顕徴鏡によって行った.その結果, 結晶は直径約30±5Aのフィブリルの放射状集合体であり, フィブリルの直径は結晶c軸の5~7倍に相当することが明らとかなった.<BR>試料のDSC曲線はその融解挙動が結晶しうる成分と非晶成分の作る共重合体のそれと定性的に一致し, 次の特徴を示した.1) 結晶の融解温度域が広い.2) 融点は (synd.1, 2) 成分の分率に大きく依存する.<BR>共重合体の融点に関するFloryの理論を応用することによって, 次のような事実が明らかとなった.すなわち, 結晶しうる成分 (synd.1, 2) の連鎖して成長する確率はその成分の分率 (組成分率 (よりかなり大きいと考えられ, ほぼ1に等しいと考えると種々の結果が矛盾なく説明される.<BR>上記の種々の結果は「分子鎖中におけるsynd1, 2成分の連鎖の位方は多かれ少なかれブロック共重合体のそれと類似している.」ことを示している.
- 一般社団法人 日本ゴム協会の論文
著者
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池山 勝
Research Laboratory, Japan Synthetic Rubber Co.
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尾畑 寛
Research Laboratory, Japan Synthetic Rubber Co.
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新海 正浩
Research Laboratory, Japan Synthetic Rubber Co.