ヒロハノマンテマの性染色体構造と性発現
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概要
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雌雄異株植物ヒロハノマンテマは異型化したXY型の性染色体をもつ.ヒロハノマンテマの性染色体は核型の中で最も大きく顕微鏡で観察しやすいため,fluorescent <I>in situ</I> hybiridization (FISH)による性染色体の構造解析が容易である.性染色体は1対の常染色体から進化したとされる.性決定に関わる遺伝子の周囲で徐々に組換えが抑制され非組換え領域が誕生した.一方,偽常染色体領域(PAR)と呼ばれる組換えを起こす領域は減数分裂期に性染色体を対合させ,均等に分配する役割をもつ.私たちは,ヒロハノマンテマの染色体末端の反復配列の詳細な解析により,性染色体のPARの位置を明らかにした.ヒロハノマンテマの興味深い現象として,黒穂菌(<I>Microbotryum violaceum</I>)の感染により雌(♀)にも擬似雄蕊(♂)が伸長し,両性花のようになることが知られている.この現象を利用し,黒穂菌感染雌株を雄株(♂)のカウンターパートとすることで,Y染色体がもつ雄蕊(♂)発達促進機能(SPF)の端緒が明らかにできると考えた.私たちは,黒穂菌感染雌(♀)株において,雄蕊(♂)発達関連遺伝子の発現解析を行った.