葉緑体分裂増殖の制御機構とその進化
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概要
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光合成を担う細胞内小器官である葉緑体は,今から十億年以上前に,シアノバクテリアが植物細胞の祖先に細胞内共生することによって誕生した.バクテリアと同様,葉緑体は自身の分裂によってのみ増殖し,その増殖は宿主植物細胞によって制御されている.葉緑体の分裂はその分裂面に形成される分裂装置によって分裂し,分裂装置が,シアノバクテリアの分裂機構と,宿主真核細胞が新たに加えた因子による,融合装置であることが分かってきた.本稿では葉緑体の分裂機構と,最近の我々の研究から明らかとなった分裂の制御機構について紹介する.