子宮頸部細胞診への液状検体処理法の導入とその有用性の検討
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概要
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目的:子宮頸がん検診に液状検体処理法(Liquid Based Cytology,以下,LBC法)を導入し,その有用性を綿棒での採取,直接塗沫による従来法と比較検討する.方法:子宮頸部細胞診を受診した3,631名に対し,1,835名を従来法,1,796名をLBC法で標本を作製し,不適正検体出現率,細胞診所見を比較した.ASC-US症例に対してはハイリスク型HPV検査を追加,陽性例に対しさらにコルポスコープ下組織生検を施行,病理学的診断との関連を検討した.結果:不適正検体の出現率は従来法38例(2.07%),LBC法0例(0%)と,LBC法で有意に減少した.異常所見なしと診断された割合は従来法で98.16%,LBC法で96.10%と有意差を認めなかった.ASC-USは従来法0.72%,LBC法2.45%とLBC法で有意に高率であった.このうち従来法8例(61.5%),LBC法19例(43.3%)に対してHPV検査を追加,1例(12.5%) と4例(21.1%)がそれぞれ陽性で,3例が中等度異形成,1例が軽度異形成と診断された.結論:従来法に比べLBC法は,適正検体の作製に優れた方法であることが示された.また,LBC法は病変の検出率でも従来法と同等以上の有用性があることが示された.LBC法ではASC-USと診断される割合が高くなるが,HPV検査の併用で,より精度の高い検診を行える可能性が示唆された.
著者
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矢代 智康
医療法人社団相和会みなとみらいメディカルスクエア
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亀井 一彦
医療法人社団相和会みなとみらいメディカルスクエア
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宮北 誠
医療法人社団相和会みなとみらいメディカルスクエア
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石川 廣記
医療法人社団相和会みなとみらいメディカルスクエア