河川における人為影響を含む景観要素が鳥類群集におよぼす影響の解析―鳥類群集を指標として河川環境を保全するために―
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概要
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鳥類を指標として河川流域の環境評価を試みるため,鳥類群集構造と景観要素としての河川の地形と土地被覆がどのような関連があるのか解析した.また,この結果から河川環境の保全のためには何が必要であるのかを検討した.調査対象地域を植生などの土地被覆と高水敷などの微地形で構成される景観要素の連続した空間をまとまりととらえて55区域に分類し,この区域毎の鳥類群集構造を多変量解析を用いて分析すると夏期は5つに,冬期は水鳥群集と陸鳥群集にわけるとどちらも4つに類別化される傾向が見られた.区域毎の鳥類群集と環境要因において相関をみると,水際から堤防表法尻(先)までの陸地横断距離が長いほど,自然被覆要素数が多いほど,水際から堤防表法尻(先)までの勾配がゆるやかなほど種数が多い傾向がみられた.また,陸地横断距離が長いほど,自然被覆要素数が多いほど鳥類の多様度が高くなる傾向がみられた.類別化されたグループのうち,鳥類の種数および多様度との間で有意差が見られた環境要因の数値について,最も相関値の高いグループから,該当地域河川環境における鳥類多様性の保全指標となる鳥類種をギャップ分析の結果も含め抽出した.この結果夏期については9種を,冬期の山野性鳥類においては2種を対象種とした.全国各地の河川において,ダムや堤防の構築,河川改修や拠水林の伐採など過去から現在に至るまで河川環境の改変が続いている.やむを得ず堤防を構築するなどの改変が必要な場合には,砂礫地から河畔林までの自然被覆要素を多く残せるように,水辺から堤防まで少なくとも100 m以上の陸地横断距離と,陸地横断距離方向の勾配をなるべく緩く確保することが鳥類を指標とした河川環境の保全のために必要である.
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