高度大動脈石灰化を伴う大動脈弁狭窄症に対しapico-aortic bypassを施行した1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は79歳, 女性. 胸部圧迫感を主訴に来院し, 心臓超音波検査にて重度大動脈弁狭窄症(最大圧較差=146 mmHg, 弁口面積=0.41cm2)と診断された. 術前のCT検査において上行大動脈基部から弓部大動脈にかけて全周性の高度石灰化を認めたため, 通常の大動脈弁置換術は困難と判断し, apico-aortic bypassを選択した. 手術は右側臥位, 第5肋間開胸で行った. Bypassに用いるconduitは, (1)下行大動脈吻合用, (2)心尖部吻合用,(3)生体弁内挿用の3つのパーツとした. 最初に下行大動脈に人工血管を吻合し, 続いて, 心室細動下に心尖部の縫着を行った. この際, 心筋全層を貫くマットレス縫合の後, 人工血管周囲を連続縫合で補強した. 最後に, 人工血管間に生体弁を内挿した人工血管を吻合した. 術後経過は良好で, 翌日には抜管, 術24日目に軽快退院となった. 術後1年6カ月経過した現在, 症状は消失し, 合併症なく経過している. 同術式は, 通常の弁置換術が困難な大動脈弁狭窄症など, 症例によっては有用な術式となり得ると考えられる.
著者
-
瀬尾 浩之
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
-
加藤 泰之
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
-
服部 浩治
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
-
柴田 利彦
大阪市立総合医療センター
-
加藤 泰之
大阪市立総合医療センター
-
服部 浩治
大阪市立総合医療センター
-
柴田 利彦
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
-
小谷 真介
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
-
元木 学
大阪市立総合医療センター心臓血管外科
関連論文
- 152) 手術により著明な症状の改善をみた高齢重症肺動脈弁狭窄の一例(第105回日本循環器学会近畿地方会)
- 広範型胸腹部大動脈瘤に対する超低体温循環停止法の有用性
- PS-070-4 Adult congenital disease : 当院における成人期先天性心疾患症例の検討
- 活動期感染性心内膜炎に対する僧房弁形成術
- 重症冠動脈病変に対するcoronary endarterectomyの現状と今後の展望
- 胸骨後経路胃管再建による食道癌術後狭心症に対する左開胸下冠動脈バイパス術の1例
- 51) 下肢静脈血栓症を有する肺塞栓症に対する3手術例
- 超高齢者(80歳以上)腹部大動脈瘤手術症例の検討 : 手術、遠隔期成績から見た妥当性
- 胸骨正中切開による多枝off-pump CABGは低侵襲と言えるか? : バイパス枝数別に見た術後SIRS期間による検討
- OP-178-5 「僧帽弁は前尖・後尖の2枚弁ではない」ということを意識した僧帽弁形成への取り組み(心臓-6,一般口演,第110回日本外科学会定期学術集会)
- 大動脈解離に対するBentall手術後の末梢側吻合部感染の1治験例 : 残存偽腔の感染
- 94)CABGにおける右内胸動脈および橈骨動脈グラフトの早期成績
- 72)一過性対麻痺を生じた破裂性 III 型解離の1例
- SF-065-3 大動脈弁狭窄症に併存する僧帽弁逆流の大動脈弁置換術後の変化に関する検討(SF-065 サージカルフォーラム(65)心臓:手術-1,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 胸部大動脈瘤手術における管理温度の違いが脳分離体外循環に与える影響
- 成人Turner症候群にみられる心大血管病変とその外科治療 (特集 小児内分泌学の進歩2011) -- (性成熟異常)
- 高度大動脈石灰化を伴う大動脈弁狭窄症に対しapico-aortic bypassを施行した1例
- WS-21-1 良好な視野展開下に残存逆流を放置しない姿勢 : 2nd arrestを躊躇するな(WS ワークショップ,第113回日本外科学会定期学術集会)