静脈洞血栓症によるくも膜下出血を契機に診断にいたったArcanobacterium haemolyticumによる感染性心内膜炎の1例
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概要
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症例は34歳,女性.頭痛,嘔気を主訴に近医受診.くも膜下出血の診断にて当院脳神経外科入院.脳血管造影において動脈瘤は認められなかった.入院中,CRPの上昇および発熱あり,血液培養にてグラム陽性桿菌を検出.心臓超音波検査施行し僧帽弁に径2cmの疣贅を認めたため感染性心内膜炎と診断した.当科入院後,原因菌はArcanobacterium haemolyticumと同定.Ampicillin,gentamicinによる治療を開始するも疣贅は縮小せず.外科適応と考え第32病日僧帽弁置換術を施行.その後,gentamicin,penicillin,erythromycinによる治療を継続し,第60病日軽快退院した.感染性心内膜炎に合併するくも膜下出血の原因はほとんどが感染性動脈瘤によるものだが,本症例では脳血管造影上,動脈瘤は認められず,後日の頭部MRIにて静脈洞血栓症が原因であると診断した.静脈洞血栓症によるくも膜下出血を契機に診断にいたった感染性心内膜炎の報告例は現在のところ認められていない.また,A. haemolyticumによる感染性心内膜炎は極めて稀であり,現在まで3例の症例報告を認めるのみであり,うち2例は診断後1週間以内に死亡している.今回,生来健康であった女性が静脈洞血栓症によるくも膜下出血を契機にA. haemolyticumによる感染性心内膜炎の診断にいたった貴重な1例を経験したので報告する.
著者
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道下 一朗
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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三浦 元宏
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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佐々木 理恵
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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水口 一郎
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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小堀 健一
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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岩城 卓
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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野末 剛
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院循環器内科
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安田 保
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院胸部血管心臓外科
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永峯 洋
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院胸部血管心臓外科
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福井 一生
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院脳神経外科
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野村 素弘
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院脳神経外科
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北村 佳久
国家公務員共済組合連合会横浜栄共済病院脳神経外科
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