心不全を契機に診断し得た偽性心室瘤の1例
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概要
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4年前の心臓超音波検査で仮性心室瘤を指摘されるも無症状で経過し,今回心不全で入院した.心臓超音波検査で後下壁の壁運動低下と心室瘤・血栓を認め,冠動脈CTでは左室後壁から後下外側への楕円形突出像と血栓像,右冠動脈と左前下行枝の狭窄が疑われた.冠動脈造影では回旋枝の完全閉塞を含む3枝病変で左室駆出率は22.6%と低下,左室造影では後下壁に心室瘤を認めた.MRIでは後外側下方へ腫瘤状突出と壁の菲薄化・壁在血栓が疑われ,陳旧性心筋梗塞による仮性心室瘤と診断し,冠動脈バイパス術と左室形成術を施行した.切除標本の病理診断では,線維性瘢痕組織に一部残存心筋組織が認められ,真性心室瘤と診断された.本例は真性心室瘤でも嚢状で入口部狭小タイプを呈する偽性心室瘤で,形態は仮性心室瘤と類似している.両者の鑑別は画像診断では困難であり,最終的には病理で確定診断された.心臓超音波検査,冠動脈CT,MRIなどの画像診断は非常に有用であったが,仮性心室瘤と真性心室瘤で嚢状を呈する偽性心室瘤の鑑別に苦慮した症例を経験した.
著者
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佐々木 毅
町田市民病院
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池田 泰子
町田市民病院
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竹村 仁志
町田市民病院
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有川 明慶
町田市民病院
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山口 洋
町田市民病院
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有川 明慶
町田市民病院循環器科
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池田 泰子
町田市民病院循環器科
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水野 友裕
町田市民病院心臓血管外科
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黒沢 利郎
町田市民病院循環器科
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木暮 武仁
町田市民病院循環器科
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牧田 哲
町田市民病院心臓血管外科
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