盲腸癌を合併した腹部大動脈瘤に対する1期的手術の経験
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概要
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症例は84歳,女性.2007年9月より,腹部不快感を認め,精査により盲腸癌,腹部大動脈瘤 (50mm) と診断された.幽門側胃切除と虫垂切除の2度にわたる開腹歴の既往があったため,盲腸癌に対して腹腔鏡下での手術は困難であり,また術前検査で耐術可能であると判断したため,人工血管感染に対する予防対策を十分に施行したうえで,1期的手術を施行することとした.手術は腹部大動脈瘤に対して人工血管置換術 (Inter Gard 16mm) を施行した後に,可能な限り瘤壁で人工血管をラッピングし,後腹膜を密に閉鎖した.その後,周囲をガーゼにて被覆し,吻合開始まで腸粘膜が術野に露出しないように注意しながら,自動吻合器を用いて腸管吻合を行った.術後経過は良好であった.術後2年6カ月の現在も再発を認めることなく,外来にて通院加療中である.盲腸癌を合併した腹部大動脈瘤に対する同一術野での1期的手術も,人工血管感染に対して一連の予防対策を行い,術野の汚染を最小限度にすることで可能であり,症例によっては選択肢の1つになり得ると考えられた.
著者
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高橋 英樹
淀川キリスト教病院心臓血管外科
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莇 隆
淀川キリスト教病院心臓血管外科
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西岡 成知
淀川キリスト教病院心臓血管外科
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莇 隆
淀川キリスト教病院心臓外科
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高橋 英樹
淀川キリスト教病院心臓外科
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