当院における急性期心不全症例に対する心臓リハビリテーションの現状と課題
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概要
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目的:当院における,入院期の心不全患者への心臓リハビリテーション(心リハ)の実態と今後の課題を,心リハ介入の有無と,介入時期の違いから検討した.<BR>方法:2007年4月~2008年7月に心不全急性増悪にて入院した56例をリハ介入群25例と非介入群31例に分け,さらに心リハ介入群を,介入までの期間の中央値8日を基準に,早期介入群12例と介入遅延群13例に分けた.年齢,基礎疾患,在院日数,入院時EFとBNP,カテコラミンと利尿薬の静注日数,酸素投与日数,入院時NYHAの分類,心リハ介入時での強心薬と利尿薬の使用割合,離床経過,入退院時の歩行自立割合を各群で調査した.<BR>結果:心リハ介入群は非介入群と比較し,有意に,年齢,入院時NYHAが高く,在院日数,利尿薬静注日数,酸素使用日数が長かった.また,心リハ介入例中,早期介入群は介入遅延群と比較し,治療状況や心リハ進行に差はなく,在院日数が有意に短かった.<BR>結語:心リハ介入依頼のある症例の特徴として,高齢であり入院時の心不全重症度が高く,また,心不全に対する医学的管理が長期に及んでいた.介入時期の比較より,早期介入群と介入遅延群において治療状況に差はなく,介入遅延群の中には,より早期に心リハを開始できた症例が存在したと考えられる.早期介入群で有意に在院日数が短縮するという結果からも,循環血行動態が安定した後に,早期より心リハを開始していく体制を医師とともに確立するべきであると考えられる.