HepG2細胞におけるインスリンと酸化ストレスのPAI-1産生に対する影響の解析: メタボリックシンドロームの易血栓性の病態解明を指向して
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概要
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心血管疾患の危険因子が集積するメタボリックシンドロームの一因に, 酸化ストレスの増加が考えられる. 一方, メタボリックシンドロームではインスリン抵抗性により高インスリン血症となり, 線溶系の主要な阻害物質であるplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1) の血中レベルが上昇し血栓を生じやすい状態にある. インスリンがPAI-1分泌にどのようにかかわるかをヒト肝臓由来HepG2細胞を用い解析した. PAI-1 mRNAレベルはreal-time PCRにより, PAI-1蛋白質産生はWestern blottingにより調べた. ルシフェラーゼアッセイによりPAI-1遺伝子のプロモーター領域および3'非翻訳領域の活性を調べた. インスリン刺激によりPAI-1遺伝子のプロモーター活性, 3'非翻訳領域の活性, PAI-1 mRNA, PAI-1蛋白質レベルは増加した. インスリン刺激により酸化ストレスは増加し, 抗酸化作用がある低分子ポリフェノールのオリゴノールで減少がみられた. インスリンは肝細胞で酸化ストレスとPAI-1産生を増加させ, PAI-1発現と酸化ストレスがリンクしている可能性が推測された. この現象に関与する因子を同定することは新規治療薬の開発につながると考えられる.
著者
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藤井 聡
名古屋市立大学 大学院薬学研究科病態解析学分野
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中村 友美
名古屋市立上社小学校
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岡田 浩美
名古屋市立大学大学院薬学研究科東海地区地域連携リカレント教育センター
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岩城 壮一郎
名古屋市立大学大学院薬学研究科病態解析学分野
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宮川 隆
名古屋市立大学大学院薬学研究科病態解析学分野
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佐藤 由樹
名古屋市立大学大学院薬学研究科病態解析学分野
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朝倉 健文
名古屋市立大学大学院薬学研究科病態解析学分野
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岡田 浩美
名古屋市立大学大学院薬学研究科病態解析学分野
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