左室中部閉塞と心尖部心室瘤を形成し心室頻拍をきたした心尖部肥大型心筋症の1例
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概要
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心尖部肥大型心筋症において12年の経過中に心尖部心室瘤を形成し, 心室頻拍(VT)を合併した症例を経験した. 症例は44歳, 女性. 1993年(32歳)に心尖部肥大型心筋症を指摘された. 2000年にVTが出現したためシベンゾリンが開始された. 2005年12月にVTによるショック状態となり電気的除細動を施行された. ニフェカラント, ソタロールによりVTは抑制された. 心エコーでは1993年には認めなかった心尖部心室瘤を認め, 収縮期に左室中部で内腔が閉塞していた. 左室内引き抜き圧所見では心室中部において136mmHgの収縮期圧較差を生じていた. 右室心尖部ペーシングを施行したところ圧較差は消失した. 植込み型除細動器(ICD)による右室ペーシングを継続したところBNPは低下し, VTの再発もなく, 無投薬下での心室期外刺激でもVTは誘発されなかった. 心尖部肥大型心筋症に心尖部心室瘤を形成した場合にはVTの原因となる可能性があり, ICD植え込みを含めた積極的な治療を検討する必要があると考えられた. また左室内圧較差の消失がVTの抑制に有効であると考えられた.
著者
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井上 博
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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水牧 功一
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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中谷 洋介
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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福田 信之
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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阪部 優夫
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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岩本 譲太郎
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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坂本 有
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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常田 孝幸
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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藤木 明
富山大学大学院医学薬学研究部内科学第二
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