慢性心不全における呼吸機能障害の特徴
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概要
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目的: 慢性心不全における, 呼吸機能障害合併の頻度を正常心機能症例と比較した. また呼吸機能障害と心エコー, 胸部X線, ナトリウム利尿ペプチド, カテコラミン分泌量との関係を評価した.<BR>方法: 対象は, 当院外来通院中の左室駆出率が50%未満, かつ3ヵ月間の病状が安定している患者141例である(慢性心不全群). 年齢, 性別をマッチングさせた正常左室収縮能126例をコントロール群とした. 全例でスパイロメトリー, 心電図, 心エコー検査を実施した. 慢性心不全群では, ANP, BNP, カテコラミンおよび心エコー, 胸部X線を, 正常肺機能, 閉塞性換気障害, 拘束性換気障害の3群で比較した.<BR>結果: 慢性心不全群の29例(21%), コントロール群の11例(9%)に拘束性換気障害が確認された. 有意差をもって慢性心不全群で拘束性換気障害の合併が多かった(p<0.05). しかし, 閉塞性換気障害の合併は, 両群で同等であった(慢性心不全群: 14%, コントロール群: 17% ns).<BR>胸部X線上の心胸郭比は, 拘束性換気障害において有意に大きかった. BNPは, 正常肺機能に比べて, 拘束性換気障害で有意に高値であった. ANPは, 閉塞性換気障害, 拘束性換気障害で高値を示した.<BR>結語: 心拡大による肺容積減少が, 拘束性換気障害の一因と考えられた. また, 呼吸機能障害の存在と心不全の状態とは関連があることが示された.
著者
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矢坂 義則
公立豊岡病院
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石田 明彦
公立豊岡病院循環器科
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姜 臣鎬
公立豊岡病院循環器科
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姜 臣鎬
公立豊岡病院 循環器科
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矢坂 義則
公立豊岡病院循環器科
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石田 明彦
公立豊岡病院 循環器科
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中村 浩彰
公立豊岡病院循環器科
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名越 良二
公立豊岡病院循環器科
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岡田 武哲
公立豊岡病院循環器科
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