慢性維持透析者に発症したcalcific uremic arteriolopathy(CUA)の1例と病因・治療の検討
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概要
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症例は44歳,男性.主訴は両下肢の先行する激痛後の皮膚の紫斑,壊死,潰瘍形成.既往歴は9年前,血液透析導入.現病歴は2008年2月,激しい痛みが先行した右下腿の皮膚の紫斑,小壊死,潰瘍が出現.壊死は周辺に広がる.同年6月,副甲状腺摘除(4腺摘除+右前腕自家移植).同年10月,都合8回の植皮を行う.皮膚生検による病理組織で細小動脈中膜への石灰沈着および石灰による血管内腔の完全閉塞が認められた.現在はほぼ治癒.Selyeは,1961年,ratを使った副甲状腺による感作病変を免疫学的機序と関連づけ,calciphylaxisと命名した.その後,尿毒症に起因する細小動脈中膜の石灰化が本態であり,CUAが適切な名称として提唱されている.現在では高P血症による中膜平滑筋細胞の骨芽細胞への形質転換によるactive de novo calcificationの結果,石灰による血管閉塞を起こすと考えられている.本例は,CUAの症状である「痛みが先行する壊死,潰瘍」を病理組織学的に裏付ける所見を示す貴重な症例と考えた.また,本例の検討からCUAの発症や消失に関するPTXの矛盾する論文報告に対して考察を加えた.これらを統一的に理解するためには,PTX前後のP/Ca動態がeu turnover boneになっていることが重要である.新規の治療としてsodium thiosulfate(STS)とcinacalcetに触れた.
著者
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中村 成男
沖縄医療生活協同組合 とよみ生協病院
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西銘 圭蔵
沖縄医療生活協同組合 とよみ生協病院
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高嶺 朝広
沖縄医療生活協同組合 とよみ生協病院
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金城 紀代彦
沖縄協同病院
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斉藤 保
中部協同病院
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