ウェットタイプポリスルホン膜のポリビニルピロリドン溶出に及ぼす滅菌法と保管期間の影響
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概要
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ポリビニルピロリドン(PVP)溶出制御は,ポリスルホン(PS)膜などPVP配合膜ダイアライザにおける重要な課題である.ダイアライザの滅菌法はPVP溶出に深く関与し,同じ銘柄のダイアライザでも保管期間の違いによりPVP溶出量が異なる.本研究では,PS膜のPVP溶出に及ぼす滅菌法と保管期間の影響を検討するため,共通のPS膜を使用し滅菌法が異なるウェットタイプダイアライザAPS-SA(APS-15SA:APS, n=7)とRENAK PS(RENAK PS-1.6, n=7)を用いて,ダイアライザ血液側について生理食塩液(生食)1.0Lによる洗浄時のPVP溶出量,充填液中のPVP濃度,洗浄開始0.5および1.0L時点におけるダイアライザ出口部のPVP濃度,生食1.0Lによる4時間循環時のPVP溶出量を測定し,これらをダイアライザ間で比較するとともにPVP溶出量と保管期間との関連性を検討した.その結果洗浄時のPVP溶出量および充填液中のPVP濃度は,高圧蒸気滅菌のRENAK群が高値を示したが,洗浄開始0.5および1.0L時点におけるダイアライザ出口部のPVP濃度は両群間で差が認められず,循環時のPVP溶出量はγ線滅菌のAPS群が高値を示した.またAPS群では,洗浄時のPVP溶出量および充填液中のPVP濃度と保管期間が統計学的にも有意な正の順位相関関係(r<SUB>s</SUB>=0.94および1.00,p=0.022および0.014)にあった.さらに,APS群では循環時のPVP溶出量と保管期間が有意な負の順位相関関係(r<SUB>s</SUB>=-0.82, p=0.044)にあることが明らかとなり,保管期間の短いAPSでは体外循環中にPVP溶出量が増加することが示唆された.
著者
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海本 浩一
大阪電気通信大学大学院 医療福祉工学専攻
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宮田 賢宏
大阪電気通信大学医療福祉工学専攻
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島本 佳昌
大阪電気通信大学医療福祉工学専攻
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宮田 賢宏
一陽会服部病院臨床工学室
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小西 修二
一陽会服部病院臨床工学室
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