絶食・抗生物質投与によるビタミンK欠乏に起因すると思われる凝固障害で硬膜外穿刺部より多量の出血を認めた1例
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概要
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術前5日前の凝固系検査では異常のない患者に硬膜外麻酔併用全身麻酔を行った際,硬膜外穿刺部から多量の出血を認めた症例を経験した.術直後の凝固能検査では,活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は正常値であったが,プロトロンビン時間(PT),トロンボテスト(TT),ヘパプラスチンテスト(HPT)が異常値を示しており,これらの結果より,出血はビタミンK依存性凝固因子である第VII因子の低下が原因であると疑われた.本患者は,術前よりイレウス症状を呈しており,長期の絶食,セフェム系抗生物質の投与が行われていた.これらの要因が重なり,ビタミンKが欠乏したと考えられた.凝固障害の原因判明後,ただちにビタミンKおよび新鮮凍結血漿投与が行われ,出血傾向は改善され,後遺症を残すことはなかった.長期の絶食患者に抗生剤を投与する際にはビタミンK欠乏に注意が必要である.
著者
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高雄 由美子
神戸大学大学院医学系研究科
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前川 信博
神戸大学大学院医学系研究科外科系講座麻酔科学分野
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柳本 富士雄
神戸大学大学院医学系研究科外科系講座麻酔科学分野
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高雄 由美子
神戸大学大学院医学系研究科外科系講座麻酔科学分野
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坂本 昇太郎
神戸大学大学院医学系研究科外科系講座麻酔科学分野
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上嶋 江利
神戸大学大学院医学系研究科外科系講座麻酔科学分野
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