告知義務違反の効果とプロラタ主義
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概要
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保険法では告知義務違反の効果に関し,プロラタ主義は採択せず全部免責主義を維持することとした。しかし,そのことは同時にプロラタ主義に消極的な評価しか付与すべきでないことになるのであろうか。保険法立法の審議過程ではプロラタ主義の採用をめぐって議論が重ねられたが,プロラタ主義採用に対する過度の警戒からか懸念や問題点の指摘が相次ぎ,ややもすればプロラタ主義が一方的に批判の矢面に立たされたとの印象を否めない。当時としては,そのような批判に対する反論のなかでプロラタ主義がいかなるものかを見定めていかなくてはならなかったが,本稿では,あらためて法制審議会の議論状況をふりかえりつつも,プロラタ主義が全部免責主義に比して優位にあり,その結果,告知義務違反の効果に関し再考を促していたのはどのような場合であったのか,というより積極的な見地に立ち,プロラタ主義の再評価を試みることにしたい。